家を売った後に戻ってくるお金があることを知っていますか?
一戸建ての家やマンションを売却すると、先払いしていた「固定資産税・管理費・修繕積立金」が日割り精算によって一部戻ってきます。
その他にも、住宅ローンを利用している場合の「融資保証料」や「火災保険」等の費用も一部戻ってくる場合があります。
家の売却代金と比較すると少額になりますが、少しでも戻ってくるのは誰もがうれしいことなのではないでしょうか。
今回は、自宅を売却した時に戻ってくるお金について解説していきたいと思います。
目次
家を売却した時に戻ってくるお金とは
家を売却すると一部のお金が戻ってきます。
一戸建ての家かマンションかで戻ってくるお金は異なりますが、基本的には同じになります。
家を売却した時に戻ってくるお金の種類は、
- 固定資産税・都市計画税
- 管理費・修繕積立金(マンションの場合)
- 融資保証料(住宅ローンを利用している場合で一括支払いしている場合のみ)
- 火災保険料(一括で支払っている場合で残った期間分は戻ってくる)
になります。
一戸建ての場合は「管理費・修繕積立金」はありませんので戻ってきません。
それ以外は一戸建てもマンションにも同じ内容になりますので、以下で詳しく見ていきましょう。
①固定資産税・都市計画税は日割り精算で戻ってくる
家を売却すると「固定資産税・都市計画税」が一部戻ってきます。
基本的に固定資産税と都市計画税は、売主が一括して支払っている場合がほとんどだと思いますが、家の引き渡し日を境に日割り精算を行います。
したがって、家の引き渡し日までの分を売主が負担して、引き渡し日以降の分は買主が負担すると言うことになりますので、買主負担分が戻ってくることになります。
詳しくは以下で解説したいと思います。
固定資産税・都市計画税とは
固定資産税・都市計画税とは、所有している土地や建物の資産に課される税金になります。
毎年1月1日時点で不動産等の資産を所有している者に課税され、その課税された者が1年分の税金を納付します。
この税額は、各市町村の「固定資産税課税台帳」に登録されている課税評価額に標準税率である「1.4%」をかけて算出されます。
ちなみに不動産取引の売買契約書等には「公租公課の分担金」と記載されています。
固定資産税・都市計画税(公租公課の分担金)の精算方法について
固定資産税・都市計画税の精算方法は、上記でも少し触れましたが「日割り精算」になります。
固定資産税・都市計画税は、1月1日時点で所有している名義人に課税されますので2月1日に売却したとしても納税者は売主になります。
しかし、家を引き渡した後の分を売主が負担するのは不公平なので、引き渡し日以降の分は買主負担となるのが一般的なのです。
その精算を行うのが、決済(引き渡し)時で、引き渡し日を境に日割り精算を行います。
ちなみに固定資産税の起算日は、関東では「1月1日」で、関西では「4月1日」となっています。
特に決まりがある訳ではないので、不動産業者に任せるいいでしょう。
今回は起算日を1月1日にとして解説したいと思います。
例えば、家の引き渡しが5月1日だった場合は以下のようになります。
- 売主:1月1日~4月30日までの120日間
- 買主:5月1日~12月31日までの245日間
基本的に引き渡し日の分は買主が負担することになりますので、上記のような日数で割ることになります。
仮にこの時の固定資産税と都市計画税の額が15万円だとすると、
- 売主:150,000円÷365日×120日=49,315円
- 買主:150,000円÷365日×245日=100,685
のようにそれぞれが負担するかたちとなります。
ですから、売主は15万円全額を先に納税していますので、引き渡し日に買主から負担分を貰うかたちとなります。
ただし、この精算方法は法律で決められている事ではありませんので、両者の合意が必要になります。
あくまでも民間業者の間で行っている精算になりますので、トラブルにならないためにも契約書内にしっかりと盛り込んでおきましょう。
②管理費・修繕積立金は日割り精算で戻ってくる
マンションを売却した場合は「管理費・修繕積立金」が戻ってきます。
ただし、その月の分の日割り精算分だけになるので、勘違いしないようにご注意ください。
管理費はともかく、修繕積立金を毎月支払っていた場合でマンション売却までに大規模修繕が行われたことがない場合で、その修繕積立金が戻ってくると思われている方も少なくありません。
しかし、今まで支払ってきた修繕積立金は「1円」も戻ってくることはありませんのでご注意ください。
管理費・修繕積立金が戻ってくるケースは、決済日が月半ばである場合だけになります。
引き渡し日が10月15日でしたら、14日までを売主が負担、15日以降の分を買主が負担と言うようなかたちになります。
この金額は売買契約書内に記載がありますのでチェックしておきましょう。
また、稀に「電気代・水道代・ガス代」の支払先によってこれらの料金も精算する場合もあります。
その場合も、日割り精算でいくらか戻ってきますので、しっかり精算するようにしましょう。
③融資保証料は日割り精算で戻ってくる
住宅ローンを利用する際に銀行の保証会社に「融資保証料」を支払います。
この融資保証料は住宅ローンを組む際に必ず支払う必要があるのですが、場合によっては戻ってくることもあります。
融資保証料とは、借主が何かしらの事情で住宅ローンの返済ができなくなった際に、借主に代わって返済をしてくれる保証会社に支払う保証料になります。
いわゆる金融機関がかける保険のようなものです。
この融資保証料のおかげで、借主は「保証人」をたてることなく高額の住宅ローンを借りることが可能となるのです。
融資保証料の金額について
融資保証料の金額は、住宅ローンを借りる銀行や、借入金額によって異なります。
また、融資保証料の支払い方法には2パターンあります。
- 現金一括納付方式
- 金利上乗せ方式
上記のいずれかの方法で融資保証料を支払うことになりますが、選択する支払い方式によって「支払い総額」が変わってきます。
金利上乗せ方式の場合は、いわゆる分割支払いになりますので、初めにまとまったお金を用意する必要はないのですが、支払総額が相当高くなってしまいます。
例えば、3,000万円を35年の住宅ローンで借りる場合の保証料は、現金一括納付方式だと「60~65万円」になりますが、それに対して金利上乗せ方式の場合だと「金利0.2%上乗せ」になりますので「100~120万円」の支払い総額になってしまうのです。
約倍ほどの支払い総額になりますので、圧倒的に現金一括納付方式の方がお得になりますが、住宅ローン実行時にローンとは別に現金を用意しなければなりません。
そのため現金が用意できない場合は金利上乗せ方式を選択しなければならなくなるのです。
融資保証料が戻ってくる場合もある
融資保証料が戻ってくる場合は「現金一括納付」している場合だけになります。
なぜなら35年間の全期間分を先払いしている事になりますので、35年経過する前に家を売却して一括返済した場合は、残りの期間分の融資保証料が何割か戻ってくるのです。
ただし、融資保証料の返還についての詳細は、ほとんどの金融機関が公開していませんので、実質どれぐらい戻ってくるのか、日割り精算なのかは銀行によって異なります。
また、住宅ローンを借りている金融機関によっては、融資保証料の返還を行っていない場合もありますので、今住宅ローンを借りている銀行に確認するようにしましょう。
フラット35は融資保証料がない
今現在借りている住宅ローンが「フラット35」と言う住宅金融支援機構が提供している商品であれば、融資保証料は無いので戻ってくることもありません。
その他にも、フラット35以外でも融資保証料不要の新生銀行やソニー銀行の住宅ローンもありますが、これらの銀行でローンを組んでいる場合も同様になります。
④火災保険料は日割り精算で戻ってくる
住宅ローンを利用して家を購入した場合は、ほぼ全ての金融機関で火災保険の加入をさせられます。
この時に、35年の住宅ローンでしたら35年間の火災保険を一括で支払っている場合がほとんどです。
また、金融機関によっては保険金請求権に「質権設定」をしている場合もあり、その場合は保険証券は金融機関で保管しています。
なぜそのようなことをするのかと言いますと、万が一火事等で家が滅失しても保険金で住宅ローンの返済をする事が可能となるからです。
つまり、保険金は契約者に払われるのではなく、金融機関に支払われると言うことです。
ですから住宅ローンを利用する場合は、火災保険は半強制的に加入しなければならないのです。
このような場合で、家を購入してから35年経過する前に売却する場合は、先払いしている残りの年数分の火災保険料が戻ってくるのです。
家を売却した後に火災保険を解約するとお金が戻ってくる
家を売却した時点で、加入している火災保険の期間が残っている場合は、残りの契約期間分の保険料が戻ってきます。
例えば、35年契約で火災保険に加入した場合で、家を購入してから10年後に売却する場合は火災保険も必要なくなるので解約することになります。
この場合、火災保険加入期間は25年残っている事になりますので、25年分の火災保険料が戻ってくるのです。
金融機関が火災保険に質権設定をしている場合は、住宅ローン完済時に「質権消滅承認請求書」をもらい、必要事項を記入し金融機関へ返します。
そして、金融機関から保険会社へ送付してもらい、火災保険の解約となります。
火災保険が解約されると、残契約期間分の保険料から手数料を指しいた金額が返還されます。
返金額は残契約年数や保険会社によって異なりますので、火災保険の契約期間が残っている家を売却する際は保険会社に確認するようにしましょう。
火災保険の解約日に要注意!
火災保険を解約する時は「解約日に注意」してください。
売買契約を締結したからと言って、すぐに解約するのは危険すぎます!
なぜなら、売買契約を締結してから引き渡しまでに期間が空いてしまうので、もし解約すると引き渡しまでの間無保険状態となってしまうからです。
万が一、引き渡しまでに火災等が発生してしまうと大変なことになってしまうのでご注意ください。
また、事前に決済日を知らせて解約するように手続きをするのもやめておいた方がいいでしょう。
なぜなら、不動産取引では稀に決済日が延びたりする場合があるからです。
例え1日でも決済日が延びてしまうと、その1日の間不安で仕方がありませんね。
ですから、火災保険の解約を行う際は「引き渡しが終わってから」行うようにしてください。
まとめ
家を売却すると上記のお金が返ってきます。
決済当日に日割り精算をして買主から受取るお金と、火災保険を解約をする事で保険会社から返還されるお金がありますので、合計するとそこそこの金額になります。
ですから、しっかりと忘れないように手続きを行うようにしましょう。
分からない場合は売却を依頼している不動産業者に確認するようにしましょう。